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#117 すれ違い。

            すぷーん

2/6(土)

この日、僕たちは、
オーナー、シェフ、ユーと僕の4人で話し合いを持った。


僕は、仕事が終わってから話そうと言ったのだけど、
まかないが始まる前に呼ばれ、その場で話すことになった。


まず、最初にユーが受けた暴力の話をオーナーは聞いた。
ユーの話がひとしきりし終わると、僕がこの前に聞いたような調理現場で
問題となっているユーの仕事についてオーナーとシェフが話をした。
そして最後に、ここを離れなければいけないと言った。

ユーは黙ってそれにうなずいた。

            mikann.jpg
一方、僕は1つ気になっていたことがあった。
「暴力をふるう側について、どう思っているのか。」
前に話した時には、それについては一切触れていなかったから。


 「ユーは、ここを離れなければいけない」

暴力から離れなければいけない。ユーの健康が最優先だ。
その意味で、僕もオーナーと同意見ではあった。

しかし、彼らが従業員の健康を一番に考えて出した答えなのか
ただ、安易な解決策として出した答えなのかでは、まったく違う。



 「暴力を振るった先輩についてはどう思う?」

僕は、とにかくストレートに聞くことにした。

 「暴力は絶対だめ。けどもそれは厨房がうまく機能してないから起こった事で
  料理の世界では、うまくできなければ先生に怒られるのは
  昔からよくあるわ(暴力のこと)。軍隊みたいなところがあるの。」


意外な答えだった。
それは、仕事ができない方に原因があると言っているように聞こえた。
日本でもイタリアでも厨房の暴力はずいぶん減ったと聞いているけど
この感覚自体は料理の世界では、依然として残っているのか。
少なくとも、彼らの中には・・・。

     僕は、これで決心がついた。

            jamu.gif

僕は、今の精神的に不安定なユーを独りで行かせるのが心配だったし、
かといってこのまま帰国するのも本人の意地がそれを許さない。
また、先輩のした事は決して許せるものではなく、
信頼できない人と仕事を続けたくはない。

僕もここを出る。

そう決めていたけど、このお店の人には入院や祖父の逝去の際にお世話になった。
だから恩もあれば義理もあるのは確かで、迷惑のかかる事はしたくなかった。
ここのところ、それに悩んでいた。迷っていたのではなくて悩んでいた。


 「僕もここを出る事にします。
  ユーの事が心配だし、
  もうあの先輩とはやってきたくない。」


変にごまかす事なく、全て本心なのでそのまま伝えた。
オーナーたちは、驚いた表情から困った顔になり、少し時間が経ってから言った。

 「ユーは、料理の基礎もできていないし、ちょっと病んでいるところもある。
  だから日本に帰って料理学校に行った方がいい。
  語学力も考えると、今のままではイタリアでは通用しないし、また同じ事になる。」


オーナーがそう言った。
  
 「ユーが日本へ帰ったら、ユーの心配はしなくていいでしょう?」
  そして、ユーがいなくなったら厨房がうまく機能するし、
  今まであなたが暴力を振るわれた事がなかったように、問題はなくなるわ。
  あなたが、ここを出て行く理由はないでしょ?」


今度はシェフがそう言った。

論理的には正しいことを言っている。けど僕はおかしいと感じた。
たしかに実力がものを言う世界だけに、厳しい部分は必ずある。

けれど、八つ当たりや嫌がらせを何度も繰り返し暴力をふりつづけた人は、
全く問題視されていない。それどころか、その人の方が被害者のように聞こえる。

そして友人が、隣で虐げられるのを見続けてきた僕の気持ちもまた、見ていない。
これはお国柄の違いなんかじゃないんじゃないか?
外国人の使用人に問題を起こされたくないだけなのか?
もしかしたら・・・もっと・・・


   まいったな。
     こんな気持ちにはなりたくなかった。



そしてもう一度、出て行くと言った僕に、もう1週間考えてくれと言った。
そしてユーには、急がなくていいから出て行く日が決まったら伝えてくれと言った。



人気ブログランキングへ ・・・。なんていうか。
 うまくいえないけど、少なからずショックだった。
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majiro

Author:majiro

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2009/2
 サラリーマン卒業!
2009/5
 フィレンツェでコック修行!
2009/9
 プーリアでコック修行!
2010/4
 ヨーロッパ旅行
 『世界の緑から』へ出発!
2010/5
  帰国。(東京→三重へ)

デザイナー  ユー
(写真:左)


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