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#97 してはいけないこと2

 過去の思い出 
   このお話は過去のお話です。
   イタリアも起業も料理も関係のないお話です(^_-)
          (→若毛のヨミカタ




(このお話は続き物です。1がまだの人はこちら

「焼却炉ってこんなに燃えるのか?!」
その時、そこへ用務員のサカイさんがやってきた!

                       2476932.jpg

サカイさんって言うのは、いつも優しくて、ニコニコしていて、
子供が好きで、丹波哲郎に似ていて、小柄で初老の用務員の先生だ。
授業がないためか、他の先生に比べて僕ら生徒とは近い距離で付き合っている。
生徒の味方っていうか、どちらかというと近所のおっちゃん?って感じ。

「おい!君ら、何やってるんだ!」
燃えさかる焼却炉の前にいる僕らを見つける。
焼却炉は、本来はサカイさんしか火をつけちゃいけない。

「何してるんだって言ってるんだ!」
今までに見た事がない厳しい表情。厳しい口調。
サカイさんなら、なんとなく許してくれるような気がしていたぐらいなので
見つかった時も実はちょっと余裕があった。
いつも優しいサカイさんだったら許してくれるって思っていたが・・・

「これはあぶないんだ!わかるか!」
ずっと僕らは、黙っていた。というよりその厳しい口調に何も言えなくなっていた。
なんだか取り返しのつかない事をしたような気持ちになって。

「怪我したらどうするんだ!」

サカイさんは、しきりにそう繰り返して、僕らはそれにただうなずくだけで。
他の先生の叱り方とは、ぜんぜん違う。ただ僕らの心配だけをしてる。
何度も何度も。そして話し終わると、

・・・ゴツっ! ・・・ゴツっ!!


そしてサカイさんは、僕らに一発ずつげんこつを食らわせた。

それがすっごく痛くて。
ていっても殴られた傷みなんて数秒で終わる。

なのにその後もずっと痛くて。



ルールだからって理由だけで、言い分も聞かずに叱る先生には、
徹底的に反抗してきた僕らも、この時は一言も反論しなかった。
だって、怒られてるのにうれしいなんて感じてるんだから。


ヒライ:「なんか悪い事したなぁ。」
こいつは落ち込むとそれをいつも素直に表現できるやつ。いつもそう。

僕:「うん。サカイさんってあんなに怒るんだ。意外だったな。」
後味が悪いイタズラだった。
おもしろい事してるって思ってたからなおさら。

僕:「お前なら、なんか言い返したり、ごまかしたりできたっしょ?」
いつも大人に対しては、半分くってかかるようなことをするこいつだけに
ちょっと意外すぎる大人しさだった。

ヒライ:「なんか怒られていたかったっていうか。なー?」
サカイさんの怒った理由が、僕らへの心配だったことが
奇妙だけどうれしかったのはこいつも同じだったみたいだ。

僕:「うん。俺もおなじ。」

ヒライ:「悪い事しても、ほんとに心配かけたらダメだな。おもしろくないや。」
やっぱ悪い事は続けるんだな。よかった。安心した。でもその通りだと思う。

僕:「みんなが笑えるのが、俺たちの悪だくみだな。」



そんな事があって、僕たちの悪だくみにもポリシーみたいなのが生まれることになった。
それからもいっぱい悪さをしたけど、どこか笑えるってのが僕ら仲間の暗黙のルール。
それは今でも変わらずに、僕らの中では生きている。

あのげんこつに感謝している。
あのとき、あの場面では、ありがとうなんて言えなかったけど。



しかし、そのチャンスは二度と訪れなかった。
この事件の数年後にサカイさんは、病気で亡くなってしまった。

病気の事は生徒たちにも知らされておらず、突然の訃報だった。
僕らは、学校が終わるとすぐに葬儀場へ走った。

他にもいっぱい生徒たちが参列していて、故人の人柄をあらわしていた。
最後のお別れの列に並ぶ僕ら。あの日の事が鮮明に思い出されて。
列の途中なのに胸に込み上げてくる。

制服のブレザーに頬をつたってボタボタ落ちる。
げんこつの傷みなんてとっくに忘れたけど、あの時の気持ちだけはまだ覚えていて。
そうしてるうちに僕のお別れの番がきて。
何か言わなきゃって思って。


ごめんなさい。


小さな声で言えたのはそれだけだった。




ヒライ:「さ、学校もどるか?」

僕:「ラーメン食ってこうぜ。」

ヒライ:「あ、じゃああの新しくできた北熊ラーメンにしようぜ。」

僕らはいつもどおりを装ってチャリを走らせる。
2人とも目は充血してるくせに。


 (おしまい)

  人気ブログランキングへ ちょっと情けない話でした。
   長々とすいません。
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tag : イタズラ 悪だくみ ヒライケイ

コメント

Secret

No title

心配して怒るのも、愛情ですよね。。。

子供の時って、敏感に分かります。
そういう大人のこと、先生のこと。。ちゃんと見抜いてた。

大人になった今も、怒る時は愛情で怒れるような、信用出来る大人になりたいと思ってます。

もっと、ファンになりましたよ。(笑)

先生(用務員さん)も今のまじろさん見たら、誇らしいんじゃないですかね。。v-398


>とっすぃぃぃさん

子供は子供の世界で、正しい事をみてるんですよねー。

大人になって、それが自分勝手な考え方だったなぁなんておもいますけど、
案外、いまあの頃の自分の疑問に、
ちゃんとこたえられるか、むずかしいですねー。

子育ってってきっと難しいんだろーなー。

僕は最近、こどもと遊びたいってよくおもいます。
仮面ライダーごっこしたい。
あっはっは!

majiro

Author:majiro

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(写真:右)
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2009/5
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2009/9
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2010/4
 ヨーロッパ旅行
 『世界の緑から』へ出発!
2010/5
  帰国。(東京→三重へ)

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